概要
二次不等式とは,x2−4x+3>0x2−4x+3>0 というような,二次の項を含む不等式のことです。
1. グラフ書いて二次不等式を解く
例題1
二次不等式 x2−4x+3>0x2−4x+3>0 を解け。
解答
x2−4x+3>0x2−4x+3>0 を解きたい
→y=x2−4x+3→y=x2−4x+3 が正となる xx を求めたい
→y=x2−4x+3→y=x2−4x+3 という二次関数のグラフが xx 軸より上側にあるような xx を求めたい
というわけで,y=x2−4x+3y=x2−4x+3 のグラフの概形を書く。これは下に凸な放物線。
xx 軸との交点の座標が必要になるので x2−4x+3=0x2−4x+3=0 を解く。
(x−1)(x−3)=0(x−1)(x−3)=0 より x=1,3x=1,3 となる。
よって,図より答えは x1,3xx
このように,二次不等式は,二次関数のグラフを書くことで解けます。
2.因数分解して二次不等式を解く
先ほどの二次不等式 x2−4x+3>0x2−4x+3>0 を,因数分解で解いてみましょう。
解答
左辺を因数分解すると (x−1)(x−3)(x−1)(x−3) となる。
(x−1)(x−3)(x−1)(x−3) の符号は,
- x1x のときマイナス×マイナスでプラス
- 1x31
のときプラス×マイナスでマイナス - 3x3
のときプラス×プラスでプラス
よって,(x−1)(x−3)(x−1)(x−3) がプラスになる部分が答えなので,x1,3xx
このように,二次不等式は,因数分解することで解けます。
グラフか因数分解か
二次不等式を解く際の考え方を2つ紹介しました。
考え方1「グラフを描いて yy 軸より上側(下側)にある部分を採用」
考え方2「因数分解して符号を直接調べる」
多くの教科書では考え方1を採用しています。
二次不等式の場合,どちらも結局やることとしては同じ(方程式 f(x)=0f(x)=0を解くことになる)です。しかし,より複雑な不等式を解く際には,考え方2も重要なので理解しておいてください!
二次不等式のもう少し難しい例題
例題2
二次不等式 x2−6x+7≤0x2−6x+7≤0 を解け。
グラフを用いた解答
y=x2−6x+7y=x2−6x+7 という二次関数のグラフが xx 軸より下側(xx 軸上もOK)にあるような xx を求めたい。
というわけで,y=x2−6x+7y=x2−6x+7 のグラフの概形を書く。
xx 軸との交点の座標が必要になるので x2−6x+7=0x2−6x+7=0 を解く。
解の公式より x=3±2–√x=3±2 となる。
よって,図より答えは 3−2–√≤x≤3+2–√3−2≤x≤3+2
因数分解を用いた解答
左辺を因数分解したいが簡単にできなさそう。そこで因数定理を使う。
左辺を因数分解するために x2−6x+7=0x2−6x+7=0 を解く。
解の公式より α=3−2–√,β=3+2–√α=3−2,β=3+2 が求まる。
よって,左辺は (x−α)(x−β)(x−α)(x−β) と因数分解できる。この符号を調べればよい。
- xαx のときマイナス×マイナスでプラス
- αxβα
のときプラス×マイナスでマイナス - βxβ
のときプラス×プラスでプラス
よって答えは α≤x≤βα≤x≤β つまり 3−2–√≤x≤3+2–√3−2≤x≤3+2
二次方程式の解が存在しない場合
二次方程式 f(x)=0f(x)=0 に実数解が存在しない場合は(グラフの概形を描いてもよいですが)平方完成すればOKです!
例題3
二次不等式 x2+2x+4≥0x2+2x+4≥0 を解け。
解答
左辺は (x+1)2+3(x+1)2+3 となり,任意の実数 xx に対して不等式は成立する。
例題4
二次不等式 2x2−8x+9≤02×2−8x+9≤0 を解け。
解答
左辺は 2(x−2)2+12(x−2)2+1 となり,任意の実数 xx に対して不等式は成立しない。つまり解なし。