高校入試で数多く出題される「放物線の問題」を取り上げます。はじめに、基礎知識を確認しましょう。
2次関数 y=ax2 (a≠0) のグラフを放物線といいます。この放物線は、y 軸を対称軸として線対称になっています。放物線が原点(0,0)と接しているところが頂点です。
a>0 のとき、グラフは上に開き、頂点の y 座標が最小値です。a<0 のとき、グラフは下に開き、頂点の y 座標が最大値です(左図)。
係数 a の値が大きいほど、グラフは細長くなります(右図)。
y はxの関数なので、xの値が変化すると、yの値も変化します。値が変化する範囲を変域といいます。
例: y=x2 で、xの変域が -1≦x≦2 のとき、
x=0 で、y=0 (最小値) なので、
y の変域は 0≦y≦4 になります。
y=ax2 で、放物線上の2点を結ぶ線分の傾きを変化の割合といいます。
例: y=x2 上の2点、A(-1,1)とB(2,4)を結ぶ線分の傾きは、
(4-1)/{(2-(-1)}=3/3=1
一般化すると、 y=ax2 では、x=p から x=q に変化すると、
変化の割合
=(aq2-ap2)/(q-p)
=a(q2-p2)/(q-p) 平方の差=和と差の積 から、
=a(q+p)(q-p)/(q-p)
=a(p+q)
例の場合、変化の割合=1(-1+2)=1
練習
1. 左の図で、放物線 y=ax2 上の点Aの座標が(3,5)のとき、aの値を求めてください。
(大阪府高)
2. 右の図のように、関数 y=ax2 のグラフ上に点Aがあります。点Aのx座標を4とします。
(1) 点Aのy座標が32のとき、aの値を求めてください。
(2) a=1/2 とします。(1)について、xの変域が -2≦x≦4 のとき、yの変域を求めてください。
(北海道高)
3. 関数 y=ax2 のグラフ上に点A(-2,2)とB(6,b)があります。
(1) a の値と b の値を求めてください。
(2) 2点A,Bを通る直線の傾きを求めてください。
(3) △OABの面積を求めてください。
(島根県高)
答 え
答 え
1.
放物線上の点の座標を、放物線の式に代入できるので、
5=a×32
a=5/9 ・・・(答)
2.
(1) 点Aの座標(4,32)を、 y=ax2 に代入すると、
32=16a
a=2 ・・・(答)
(2) y=x2/2 で、xの変域が -2≦x≦4
放物線のグラフは、上に開いていて、最小値は0である。
x=-2 のとき、y=(-2)2/2=2
x=4 のとき、y=42/2=8
よってyの変域は、0≦y≦8 ・・・(答)
3.
(1) A(-2,2)、B(6,b)の座標は、y=ax2を満たすので、
2=(-2)2a から、a=1/2
b=62a から、b=18
(答) a=1/2 b=18
(2) A(-2,2)、B(6,18)から、直線ABの傾きは、
(18-2)/{6-(-2)}=16/8=2 ・・・(答)
(3) Aからx軸に垂線を引き、交点をA’(-2,0)とする。
Bからx軸に垂線を引き、交点をB’(6,0)とする。
ABとy軸の交点をC とすると、等積変形(▽=△)ができ、
△OAB=△OAC+△OBC
=△OA’C+△OB’C=△A’C B’
ここで、C の座標(0,c)を求める。
直線の式は、y=2x+c で、A(-2,2)を通るので、
2=-4+c c=6
よって、
△A’C B’=底辺×高さ/2
=8×6/2=24 ・・・(答)