バンナムHD、24年3月期決算は営業益22%減の906億円 トイホビー好調もゲーム苦戦 『エルデンリング』反動減や新作オンラインゲーム評価損、編成見直し響く

バンナムHD、24年3月期決算は営業益22%減の906億円 トイホビー好調もゲーム苦戦 『エルデンリング』反動減や新作オンラインゲーム評価損、編成見直し響く

バンダイナムコホールディングスは、5月9日、2024年3月期(24年4月~24年3月)の連結決算を発表し、売上高1兆0502億1000万円(前の期比6.1%増)、営業利益906億8200万円(同22.1%減)、経常利益1041億6400万円(同18.6%減)、最終利益1014億9300万円(同12.3%増)だった。
・売上高:1兆0502億1000万円(同6.1%増)・営業利益:906億8200万円(同22.1%減)・経常利益:1041億6400万円(同18.6%減)・最終利益:1014億9300万円(同12.3%増) 
同社では、ハイターゲット層(大人層)向け商品やカード商材、カプセルトイ等が人気となったトイホビー事業等が業績に貢献したものの、もう一つの柱であるデジタル事業が大幅な減益となったことが響いた。
デジタル事業では、家庭用ゲームにおけるプロダクトミックスの違いが業績に影響したほか、オンラインゲームの新作タイトル等に関わる評価損に加え、次期中期計画を見据えタイトル編成の見直しを行ったことによる処分損を計上した。
また、第4四半期で所有する政策保有株式の一部を売却したことに伴う投資有価証券売却益(特別利益)を計上した。さらには保有資産の有効活用により資本効率の向上をはかるとともに環境変化に対応し株主還元を含めた機動的な資本政策を実行することを目的に自社株買いを行った。
セグメントごとの経営成績は、次のとおり。
 
■デジタル事業
売上高は3726億6700万円(同3.4%減)、セグメント利益は62億5700万円(同87.3%減)となった。
ネットワークコンテンツにおいて、「DRAGON BALL」シリーズや「ONE PIECE」等の主力アプリタイトルがユーザーに向けた継続的な施策により国内外で引き続き安定的に推移する一方、オンラインゲームの新作タイトルが計画を大幅に下回った。
家庭用ゲームにおいては、ワールドワイド向けの新作タイトル「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」、「鉄拳8」等が人気となった。家庭用ゲーム全体では、既存タイトルについては「ELDEN RING」のリピート販売が大きく貢献した前年同期とのプロダクトミックスの違いが業績に影響した。
なお、デジタル事業においては、今期投入したオンラインゲームの新作タイトル等に関わる評価損に加え、次期中期計画を見据えタイトル編成の見直しを行ったことによる処分損を計上した。今後は、バランスの取れた最適なタイトルポートフォリオの構築、開発体制の強化を行うとともに、クオリティを重視したファンの期待に応えるタイトル開発を強化していく。
 
■トイホビー事業
売上高は5098億8000万円(同13.9%増)、セグメント利益は786億5500万円(同32.1%増)となった。
原材料価格や燃料価格上昇の影響を受けたものの、好調カテゴリーの商品ラインナップやグローバル展開の拡大、生産体制の強化、リアルイベントや店舗によるタッチポイント拡大等をはかったことにより、引き続き好調に推移した。
具体的には、「ガンダムシリーズ」のプラモデルやコレクターズフィギュア、キャラクターくじ等のハイターゲット層向けの商品が、販売・マーケティングや商品ラインナップの強化等により好調に推移した。
また、「ONE PIECE」のトレーディングカードゲーム等のカード商材、カプセルトイ、菓子・食品等が商品ラインナップやターゲット層、展開地域の拡大に加え、顧客とのタッチポイントの強化等により業績に貢献した。
 
■IPプロデュース事業
売上高は824億6800万円(同0.9%増)、セグメント利益は100億4800万円(同5.6%減)となった。
映像制作においてTVアニメーションや劇場作品等複数の新作作品の制作及びプロデュースを行った。「ガンダムシリーズ」では、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」は、新規ファン層を獲得し、グループの商品・サービス販売の好調につながった。また、劇場作品「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」が、幅広いファン層に支持され、ガンダムシリーズ劇場公開作品の中で過去最高記録の興行成績を更新した。
このほか、「ガンダムシリーズ」や「ラブライブ!シリーズ」、「アイドリッシュセブン」、「転生したらスライムだった件」、「ブルーロック」等のライセンスビジネスや映像配信等が安定的に推移したほか、ライブイベント、インバウンド需要を取り込んだ「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」が好調に推移した。事業全体では、パッケージ商品の前年とのラインナップの違いや、制作原価の上昇等が影響した。
 
■アミューズメント事業
売上高は1196億6700万円(同14.4%増)、セグメント利益は68億4300万円(同13.3%増)となった。
国内アミューズメント施設の既存店売上高が前年同期比で103.0%となった。また、「バンダイナムコ Cross Store」や「ガシャポンのデパート」のようなグループの商品・サービスと連携したバンダイナムコならではの施設展開が好調に推移した。
業務用ゲームにおいては、新製品「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2オーバーブースト」や人気シリーズのアップデートキットの販売が好調に推移した。また、燃料価格の上昇等の外部環境の変化も踏まえ、引き続き効率化に取り組んだ。
 
■その他事業
売上高は323億5800万円(同3.3%増)、セグメント利益は9億8800万円(同15.2%減)となった。
グループ各社へ向けた物流事業、その他管理業務等を行っている会社から構成されており、これらのグループサポート関連業務における効率的な運営に取り組んでいる。
 
■2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の業績は、売上高1兆0800億円(前期比2.8%増)、営業利益1150億円(同26.8%増)、経常利益1190億円(同14.2%増)、最終利益810億円(同20.2%減)、EPS123.82円を見込む。
・売上高:1兆0800億円(同2.8%増)・営業利益:1150億円(同26.8%増)・経常利益:1190億円(同14.2%増)・最終利益:810億円(同20.2%減)・EPS:123.82円
 
【追記】業績推移は以下のとおり。
Source: Social Game Info
バンナムHD、24年3月期決算は営業益22%減の906億円 トイホビー好調もゲーム苦戦 『エルデンリング』反動減や新作オンラインゲーム評価損、編成見直し響く

Author: freelance