【株式】ゲーム・エンタメ関連企業の株価、アニメやVtuber中心に活況 モバイルゲームはサービス終了が相次ぐ中で新しい挑戦もみられた1年という総括も少々

【株式】ゲーム・エンタメ関連企業の株価、アニメやVtuber中心に活況 モバイルゲームはサービス終了が相次ぐ中で新しい挑戦もみられた1年という総括も少々

2023年の株式市場が12月29日に終わったが、ゲーム及びエンタメ関連企業の1年間の株価上昇率をみていこう。年間の値上がり率上位を見ていくと、IGポートが113%の上昇率で1位だった。同社は、プロダクション・アイジーやウィットスタジオといったアニメスタジオのほか、コミック出版社のマッグガーデンを子会社として有している。業績の改善に加えて、『SPY×FAMILY』や『The ONE PIECE』など人気作品の制作を担当するなど注目を集めた。東映アニメーションが7位に入った。海外の動画配信サービスを中心にアニメ人気が伸びていることに加え、劇場作品でもヒットが相次ぐなど良好な事業環境が続いている。
新型コロナによる自粛からの正常化が進み、外出機会が増加したことを背景にコロナ禍で苦しんでいた企業の復調ぶりも鮮明となった。まんだらけやフリュー、サンリオ、タカラトミーなどがその例といえるだろう。そして旧セガのアミューズメント事業を引き継いだGENDAも華々しく上場し、上場後もアミューズメント関連企業の買収を進めるなど積極的に業容拡大を進めている。
Vtuber企業としてカバーも3月に上場し、注目を集めたが、同業のANYCOLORは10%の上昇にとどまった。12月に行った決算発表で第2四半期の決算で売上高が8%増、営業利益が11%増にとどまるなど成長性に関する懸念が出たという。「にじさんじフェス」の開催時期のズレや、プロデューサーやエンジニアなど人材採用の強化などが要因とのことで、次の四半期決算でこうした懸念を払拭してほしいところ。
さて、ゲーム関連については、任天堂が上昇率34%でトップだった。好調な業績を背景にマーケットでの評価が上がっており、大納会には16年ぶりに上場来高値を更新した。その一方、モバイルゲーム会社を中心に下落している企業が多いことも目につく。モバイルゲーム市場は中国企業の台頭と市場の成長鈍化、開発費の高騰といった問題があり、そして相対的に順調とみられた家庭用ゲームも特に欧州と北米がインフレの影響を受けていることに加え、コロナ禍での巣ごもり需要も後退し、やや難しい事業環境になっているという。
ゲーム会社、特にモバイルメインの会社は、いま難しい選択を迫られている。一定の収益を上げている会社は、開発人員の増加や技術投資を行って開発力を高めつつ、モバイルに限らずにSteamや家庭用ゲーム向けの開発も行っていくようだ。同時に、漫画やライトノベルの出版やアニメなどIPの”上流”に進出したり、人材サービスなどゲーム関連の周辺事業に注力したりする会社も出ている。受託ビジネスは、家庭用ゲームは堅調だが、モバイルは全体的に本数を絞り込む動きがあり、新規での受注が取りづらい環境にあるそうだ。
メタバースやブロックチェーンゲームなどWeb3領域に進出する会社もあり、クルーズのように一定の成果を出している会社も出ている。ブロックチェーンゲームも当初こそ家庭用ゲームやモバイルゲームに比べて内容の劣るゲームが多かったが、品質の高いゲームも徐々にリリースされるようになってきた。ブロックチェーンゲームで遊ぶための敷居がさらに下がり、そして「稼ぐ」よりもゲームとしての面白さがアピールできれば、市場として飛躍することは十分可能ではないか。
個人的には、2023年のモバイルゲームについては、『Pokémon Sleep』のように「新しいエンタメ」を提供したタイトルが生まれてきたことに加えて、外出機会の増加に関連して位置情報ゲームの復調が大きなトピックスだったと感じている。『モンスターハンターNow』のヒットはもちろん、運営開始10年目に突入したモバイルファクトリーの『駅メモ!』がいまだに成長を続けているなど一般的なモバイルゲームでは起こり得ない、驚くべき事象がみられた。
また、モバイルゲームのIP(アニメや漫画など知的財産権)タイトルについては、従来のような「(アニメ放送後などに)版元よりIPをお借りしてゲームを作らせていただく」という形から、アニメ製作委員会に参加してIPの展開に積極的に関与しつつ、IPの価値を高めるためのゲーム作りに取り組む会社が増えてきた。アニメの展開にあわせて3Dをフル活用したハイエンドなゲームを連動して運用していくというのは、かなり難易度の高い仕事だろうと思われるが、Aimingやサムザップが見事にやり遂げた。
2023年のモバイルゲーム業界は、海外企業の攻勢に押され、サービス終了を余儀なくされるタイトルが目立ち、事業撤退や転換に踏み切る会社が出るなど、停滞した1年だったように感じられたかもしれないが、新しいエンタメの提供やチャレンジングな取り組みも見られた1年だったように感じている。新しいIPタイトルへのアプローチ方法やWeb3領域もちろん、「健康」や「外出機会の増加」などをフックとして、新しいエンタメの創出余地はまだ十分に残されている。
(※)これは余談だが、大手ゲーム会社の中にはスマホゲームの終了が相次ぎ、社内のプロデューサーが過剰になっているという話も噂レベルで聞くようになってきた。
  
■ゲーム・エンタメ関連企業の株価上昇率(大発会終値と大納会終値の比較) 

順位
銘柄名
コード
年初
年末
増減率

1
IGポート
3791
2,190
4,680
113.7%

2
まんだらけ
2652
1,052
2,232
112.2%

3
カバー
5253
1,400
2,738
95.6%

4
HEROZ
4382
949
1,690
78.1%

5
タカラトミー
7867
1,258
2,233
77.5%

6
SHIFT
3697
22,510
35,820
59.1%

7
東映アニメーション
4816
12,580
18,930
50.5%

8
GENDA
9166
2,037
2,857
40.3%

9
ハピネット
7552
2,009
2,767
37.7%

10
アクセル
6730
1,609
2,158
34.1%

11
任天堂
7974
5,487
7,359
34.1%

12
ソニーグループ
6758
10,165
13,410
31.9%

13
フリュー
6238
1,060
1,394
31.5%

14
東京通信
7359
590
738
25.2%

15
サンリオ
8136
4,700
5,879
25.1%

16
コナミグループ
9766
5,950
7,383
24.1%

17
KADOKAWA
9468
2,335
2,871
23.0%

18
SEH&I
9478
228
279
22.4%

19
イオレ
2334
937
1,100
17.4%

20
東映
9605
17,350
20,330
17.2%

21
アカツキ
3932
2,204
2,532
14.9%

22
ANYCOLOR
5032
2,810
3,110
10.7%

23
ガンホー・オンライン・エンターテイメント
3765
2,127
2,352
10.6%

24
イマジニア
4644
910
1,002
10.1%

25
セルシス
3663
659
719
9.1%

26
ビーグリー
3981
1,142
1,225
7.3%

27
カプコン
9697
4,250
4,556
7.2%

28
ドリコム
3793
799
851
6.5%

29
マーベラス
7844
675
713
5.6%

30
エクストリーム
6033
1,193
1,235
3.5%

31
CRI・ミドルウェア
3698
873
901
3.2%

32
バンダイナムコホールディングス
7832
2,766
2,827
2.2%

33
アルファポリス
9467
2,271
2,302
1.4%

34
セガサミーホールディングス
6460
2,000
1,972
-1.4%

35
円谷フィールズホールディングス
2767
1,299
1,272
-2.0%

36
日本ファルコム
3723
1,233
1,184
-4.0%

37
買取王国
3181
813
780
-4.0%

38
トーセ
4728
728
698
-4.1%

39
東宝
9602
4,990
4,769
-4.4%

40
MIXI
2121
2,475
2,361
-4.6%

41
コロプラ
3668
622
591
-5.0%

42
フェイス
4295
513
477
-7.0%

43
アピリッツ
4174
1,142
1,040
-8.9%

44
日本一ソフトウェア
3851
1,120
1,016
-9.3%

45
ワンダープラネット
4199
1,281
1,116
-12.9%

46
テイツー
7610
160
138
-13.8%

47
ネクソン
3659
2,999
2,570
-14.3%

48
アクセルマーク
3624
290
248
-14.5%

49
エヌジェイホールディングス
9421
501
425
-15.2%

50
エイベックス
7860
1,644
1,368
-16.8%

51
ケイブ
3760
1,678
1,390
-17.2%

52
スクウェア・エニックス・ホールディングス
9684
6,150
5,063
-17.7%

53
カヤック
3904
837
687
-17.9%

54
coly
4175
1,075
882
-18.0%

55
グリー
3632
697
570
-18.2%

56
シリコンスタジオ
3907
1,202
982
-18.3%

57
エイチーム
3662
705
574
-18.6%

58
アエリア
3758
375
299
-20.3%

59
ディー・エヌ・エー
2432
1,777
1,377
-22.5%

60
クルーズ
2138
1,005
777
-22.7%

61
ボルテージ
3639
316
244
-22.8%

62
マイネット
3928
369
284
-23.0%

63
Link-U
4446
971
744
-23.4%

64
サイバーエージェント
4751
1,161
885
-23.8%

65
バンク・オブ・イノベーション
4393
6,050
4,610
-23.8%

66
オルトプラス
3672
195
146
-25.1%

67
ブシロード
7803
658
490
-25.5%

68
モバイルファクトリー
3912
876
637
-27.3%

69
ディー・エル・イー
3686
274
197
-28.1%

70
メディア工房
3815
316
227
-28.2%

71
モイ
5031
358
249
-30.4%

72
コーエーテクモホールディングス
3635
2,342
1,609
-31.3%

73
KLab
3656
432
287
-33.6%

74
エディア
3935
507
333
-34.3%

75
モブキャストホールディングス
3664
86
55
-36.0%

76
Aiming
3911
394
250
-36.5%

77
イー・ガーディアン
6050
2,631
1,613
-38.7%

78
ギークス
7060
849
503
-40.8%

79
サイバーステップ
3810
478
283
-40.8%

80
ガーラ
4777
504
286
-43.3%

81
UUUM
3990
820
434
-47.1%

82
enish
3667
345
170
-50.7%

83
壽屋
7809
3,460
1,614
-53.4%

84
gumi
3903
1,002
443
-55.8%

85
ユークス
4334
1,289
541
-58.0%

86
ウェルプレイド・ライゼスト
9565
3,925
1,463
-62.7%

87
GFA
8783
116
42
-63.8%

88
monoAI technology
5240
1,320
421
-68.1%

   
■ゲーム・エンタメ関連企業の時価総額ランキング(12月29日引け後ベース)

順位
銘柄名
コード
時価総額

1
ソニーグループ
6758
16,911,107

2
任天堂
7974
9,557,060

3
ネクソン
3659
2,200,145

4
バンダイナムコホールディングス
7832
1,882,449

5
カプコン
9697
1,214,200

6
コナミグループ
9766
1,059,461

7
東宝
9602
889,374

8
東映アニメーション
4816
795,060

9
SHIFT
3697
638,549

10
スクウェア・エニックス・ホールディングス
9684
620,377

11
コーエーテクモホールディングス
3635
540,612

12
サンリオ
8136
523,758

13
セガサミーホールディングス
6460
475,705

14
サイバーエージェント
4751
448,039

15
KADOKAWA
9468
407,062

16
東映
9605
300,252

17
タカラトミー
7867
208,999

18
ガンホー・オンライン・エンターテイメント
3765
205,182

19
ANYCOLOR
5032
195,749

20
MIXI
2121
174,079

21
ディー・エヌ・エー
2432
168,194

22
カバー
5253
167,358

23
グリー
3632
102,457

24
GENDA
9166
97,985

25
円谷フィールズホールディングス
2767
88,277

26
コロプラ
3668
76,863

27
ハピネット
7552
66,546

28
エイベックス
7860
62,468

29
マーベラス
7844
44,360

30
フリュー
6238
39,445

31
アカツキ
3932
35,907

32
ブシロード
7803
34,941

33
セルシス
3663
26,079

34
HEROZ
4382
25,419

35
ドリコム
3793
24,870

36
アクセル
6730
24,195

37
IGポート
3791
23,659

38
アルファポリス
9467
22,300

39
イー・ガーディアン
6050
19,249

40
バンク・オブ・イノベーション
4393
18,454

41
gumi
3903
17,528

42
まんだらけ
2652
16,151

43
壽屋
7809
13,622

44
日本ファルコム
3723
12,172

45
KLab
3656
11,793

46
エイチーム
3662
11,359

47
カヤック
3904
11,001

48
イマジニア
4644
10,670

49
Link-U
4446
10,544

50
クルーズ
2138
10,068

51
Aiming
3911
10,041

52
テイツー
7610
9,476

53
ケイブ
3760
9,300

54
UUUM
3990
8,671

55
ディー・エル・イー
3686
8,375

56
ビーグリー
3981
7,649

57
東京通信
7359
7,432

58
ガーラ
4777
7,160

59
アエリア
3758
7,071

60
エクストリーム
6033
6,795

61
フェイス
4295
6,597

62
ユークス
4334
6,003

63
モバイルファクトリー
3912
5,686

64
SEH&I
9478
5,576

65
トーセ
4728
5,419

66
日本一ソフトウェア
3851
5,214

67
ギークス
7060
5,192

68
CRI・ミドルウェア
3698
5,026

69
coly
4175
4,854

70
monoAI technology
5240
4,360

71
アピリッツ
4174
4,335

72
ウェルプレイド・ライゼスト
9565
3,987

73
モイ
5031
3,478

74
enish
3667
3,331

75
サイバーステップ
3810
3,306

76
シリコンスタジオ
3907
2,920

77
イオレ
2334
2,914

78
ワンダープラネット
4199
2,893

79
オルトプラス
3672
2,867

80
買取王国
3181
2,839

81
アクセルマーク
3624
2,640

82
メディア工房
3815
2,565

83
マイネット
3928
2,474

84
モブキャストホールディングス
3664
2,455

85
GFA
8783
2,348

86
エヌジェイホールディングス
9421
2,274

87
エディア
3935
2,041

88
ボルテージ
3639
1,589
Source: Social Game Info
【株式】ゲーム・エンタメ関連企業の株価、アニメやVtuber中心に活況 モバイルゲームはサービス終了が相次ぐ中で新しい挑戦もみられた1年という総括も少々

Author: freelance